原発事故は、もういらない・・・

No More Nuke accident!

本当の基準値と暫定基準値

それでは、どの程度の放射線を浴びると人体に影響が出てくるのでしょうか?

この影響が出てしまう閾値(しきいち)として、“基準値”というものが存在しています。

まずはモノの汚染度を測るときに使われる“ベクレル(Bq)”を見てみましょう。

以下は“飲料水”が下記まで汚染されたら×というものです。

・世界の基準値
WHO基準      1ベクレル(Bq/L)
http://whqlibdoc.who.int/publications/2004/9241546387_jpn.pdf
ドイツガス水道協会 0.5ベクレル(Bq/L)
アメリカの法令基準 0.111ベクレル(Bq/L)

・2011/3/17までの日本の基準値
ヨウ素 I-131 10ベクレル(Bq/L)←一つの(※)放射性物質で見ても世界基準の10倍ですね…
セシウムCs-137 10ベクレル(Bq/L )
※“一つの”の意味ですが、例えば、放射性ヨウ素が9ベクレル/L、セシウム137が9ベクレル/Lで汚染されている水があったとしても、日本では、基準値以下ゆえに“問題なし”と判断されます。

そして、これが福島第一原子力発電所の事故後、2011年3月17日以降の日本の“暫定”基準値です。
暫定基準値の表
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf
厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知
平成23年3月17日付「食安発0317第3号

そもそもとして、“暫定”基準値というものは、非常事態に一時的に利用されるものです。
しかし、我が国は、既に数ヶ月以上もの間、WHO基準の500倍(飲料水、放射性ヨウ素とセシウムだけに限定しても)も高い数値を安全と言い続けています。

そして、その数値は、核爆弾を生み出し、それを広島、長崎に投下し、被ばく者の健康調査を独占して(都合良く)行い、その後もたくさんの核実験を行うことで放射線が人体に与えるリスクを一番知っているであろうアメリカの基準と比較をすると、約5,000倍も緩いものという事になるのです。

また、野菜類 (根菜、芋類を除く) 2,000 Bq/kg
などは、WHOが定める
餓死を避ける為に緊急時に食べざるを得ない非常事態時の数値が1,000 Bq/Kg
の2倍の量になるのですが、我が国はその数値を「問題ない」と言っています。
素直に受け取れば、「今の日本で餓死することなどあり得ないのだから、国内産の野菜なんて食べたくない!」と考えるのが普通かもしれません。

「よく洗ってから食べれば問題ない」と言う話も聞きますが、そもそも野菜の放射能の測定時は、事前に相当しっかりと洗った上で実施されているとのこと。

「福島県産の牛乳が“基準値”を3週間連続で下回りましたので販売制限が解除されました」
「収穫された○○から微量の放射能が検出されましたが、基準値を下回っているので人体への影響はありません」
といった報道に使われる際の“基準値”は、上記の“暫定基準値”から来るという事を決して忘れないでください。

http://kingo999.web.fc2.com/kizyun.html
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/housha/details/Cs137vs134.html


次は、具体的な“人への影響(ダメージ)”を測るシーベルト(Sv)です。

国際放射線防護委員会 ICRP Publication 103 (2007)

・一般人
平常時
年間1mSv、特別な事情がある場合は5年間の平均が1mSv

緊急時
年間20mSvから100mSvの間

・作業員
平常時
5年間の平均として1年あたり20mSv、ただし1年間限りであれば上限は50mSv、5年間の上限は100mSv

人命救助の段階によって
(志願者のみ)相手の利益が救助員のリスクを上回る場合は無制限
(志願者のみ)上記以外の場合、一度に1000mSv(重い確定的影響を避けるため)か500mSv
それ以外の救助は、一度に100mSv以下


欧州放射線リスク委員会 ECRR (2010)

一般人は、1年あたり、生物学的実効線量が0.1ミリシーベルトを越えないようにする。

作業員は、1年あたり、生物学的実効線量が2ミリシーベルトを越えないようにする。


原子力については私の信望するアメリカのデータが見つからなかったのが少々残念ですが、とりあえず。

基本的に、“平常時”の我が国の基準値では年間1mSvですから、ICRP、いわゆる緩い方の基準に倣っていると言えます。

それでは、ICRPとECRRとはどんな団体なのかを調べてみました。
双方の言い分には10倍の差がある訳ですから、どちらの主張が正当なのかを判断する事が大切だと考えたからです。

この辺りはWEB上でも色々と見解が分かれていますが、重要なのはそれぞれがどの様な“立場”でモノを言っているかという事。
正直、こういった基準値の基となる“統計学”というものは、導きたい答え次第で、その過程となる裏付け(数値)は如何様にも作り出せてしまうものです。

では、それぞれが公に認めている形で、それぞれの立場を見てみます。

まずは、我が国が参考にしている、
ICRPは原子力を“営利目的”で利用する方々が密接に関係
しており、あの斑目さんが率いる国際原子力機関(IAEA)と呼ばれる原子力推進派(日本では“原発村”と揶揄される)が率いる団体とのこと。

一方で、
ECRRはチェルノブイリ原発事故の影響を旧ソビエト圏の研究者らと共に実際に調査、統計を行っている市民組織を中心にした団体でした。

どちらを信頼するかは、各自の判断ですが、例えば、(我が国が参考にしている)ICRPでは、チェルノブイリ原発の事故において“被ばくによって死亡したのは瓦礫の撤去作業を行っていた労働者30名だけ”という発言をしており、大いに物議を醸し出している様です。

さて、そういった事前知識を付けた上で、現在の2011年7月現在の我が国の(暫定)基準値です。

・年間20mシーベルト
上記を見れば分かりますが物議を醸しだしたICRPの、それも“緊急時”に設定されたものの下限値です。
“緊急”という言葉の意味を理解していれば、既に数ヶ月以上を経過した現在、推して知るべしという数値になっています。
その後、政府は8月末を目標に、年間1mシーベルトを目指すという発言を後日していましたが、すでにその期日は過ぎています。

・3.8μシーベルト/h
上記の年間積算量20mSvを単純に8760時間(=24時間x365日)で割ったものではなく、文部科学省が「16時間の屋内(木造)、8時間の屋外活動の生活パターンを想定すると、年間20mSvに到達する空間線量率は、屋外3.8μシーベルト/h、屋内木造1.52μシーベルト/hとなる」という仮説を立てて定義した数値とのことです。
どうやって基準値を更に“甘く”したのかを文科省が説明しているわけですね。

・1μシーベルト/h
市民レベルの草の根の活動によって、最近文部科学省が定めた“この数値以上が出れば校庭の除染を行なう”という基準値です。
しかし、この数値の根拠はどこにも書かれていません。

テレビを中心とした各種メディアで、原子力村の学者さん達が「問題ありません。大丈夫です。」というセリフの際に、引用されるのがこのICRP(やその子供のIAEA)の基準であることを忘れないで下さい。


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